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AKITA DEEP DIVE まだ知らない秋田、掘り下げる旅

2025年12月12日


森と湯に身をゆだねて~貝の沢温泉の“フォレスト湯治”

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冬本番に向けて肌寒さが増すごとに、あったかい温泉が恋しくなるこの季節。せわしない日常から抜け出して、秋田を旅してみませんか。秋田県は、全国的に有名な温泉郷から地域の立ち寄り温泉まで、たくさんの名湯・秘湯が点在する温泉天国です。秋田市の魅力を掘り起こす「AKITA DEEP DIVE」第2回目は、秋田市郊外にある「貝の沢温泉」を紹介します。

ほんの少しのドライブで、雄大な自然がお出迎え

太平山の眺めが美しい、貝の沢温泉までの道中

【太平山の眺めが美しい、貝の沢温泉までの道中】

 都市と自然がほどよく調和しているのが、秋田市の魅力。にぎやかなJR秋田駅前から東へ15分ほどドライブするだけで、空が大きく広がり、車窓の風景ががらりと変わります。のどかな田園地帯の向こうには、凛とそびえる太平山の姿も。
 目指すのは秋田市の郊外、太平山の麓に位置する天然温泉「貝の沢温泉」です。秋田駅からの所要時間は、車で約30分。道路沿いの案内看板をたよりに田んぼ道と杉林を抜けると、温泉入口の山門が見えてきました。

  • 県道に看板が見えたらあと少し!

    【県道に看板が見えたらあと少し!】

  • 山門をくぐって温泉に到着

    【山門をくぐって温泉に到着】

ひとり旅にも最適!素朴な名湯「貝の沢温泉」

地元のファンも多い秋田市の「貝の沢温泉」

【地元のファンも多い秋田市の「貝の沢温泉」】

 秘湯のようなロケーションにある「貝の沢温泉」は1980(昭和55)年、秋田市太平地区に開業した温泉旅館。日帰り入浴もOKです。市内ではとても希少な源泉かけ流しの温泉で、市街地からも通いやすいことから、幅広い世代のリピーターが足を運ぶ「ふだん着の温泉」です。

  • 県道に看板が見えたらあと少し!
  • 山門をくぐって温泉に到着

 日帰り入浴では、お昼営業の食堂や大広間・個室での休憩も利用できます。宿泊では、湯治や休息を目的に、一人旅で訪れるお客様も多いとのこと。じっくりと源泉に浸り、自然の中でただただ静かにくつろぐ――そんな時間の過ごし方を提案しています。

源泉100%のかけ流しにこだわる、つやつやの湯

大浴場。とろりとした源泉が肌をなめらかに潤す

【大浴場。とろりとした源泉が肌をなめらかに潤す】

 日帰り入浴できるのは、大浴場と露天風呂。大きな窓からは、四季折々で変化する木々を一望できます。温泉は、毎分200リットル、62.5℃で豊富に湧き出す、ナトリウム塩化物泉。加水・加温は行わず、源泉をかけ流します。化粧水のようにとろみを帯びた湯が特徴で、お風呂上りにはお肌がつやつやに。

開放感いっぱいの露天風呂。温かいお湯と山の空気が心地よい

【開放感いっぱいの露天風呂。温かいお湯と山の空気が心地よい】

 大浴場と露天風呂の利用は19時まで。貝の沢温泉では、毎晩浴槽のお湯を流してきれいに清掃したのち、温泉を入れ替えます。源泉が高温なので、朝までかけてお湯をちょうどいい温度に冷ますのだそう。このひと手間があるからこそ、いつでも気持ちよく100%の源泉かけ流しの温泉を楽しむことができるのです。

地元の老舗スーパーが運営する貝の沢温泉の歴史

㈱せきや取締役副社長の関谷好子さんと貝の沢温泉支配人の佐藤千佳子さん

【㈱せきや取締役副社長の関谷好子さんと貝の沢温泉支配人の佐藤千佳子さん】

 貝の沢温泉を運営するのは、秋田市で老舗のスーパーを営む株式会社せきやです。同社副社長の関谷好子さんと温泉支配人の佐藤千佳子さんが、館内を案内してくれました。
 「貝の沢」は地名に由来する名前です。1968(昭和43)年、自然が好きだった先代社長の関谷春雄さん(故人)が広い土地を取得し、保養施設の「関谷山荘」を建てたのが始まりです。1979(昭和54)年、敷地内の田んぼから硫黄の香りがしたのをきっかけに、秋田市では初めてとなる個人による掘削ボーリングに着手。地下からは約20℃の温泉が湧き、その翌年に「貝の沢温泉」として開業しました。1996(平成8)年に二度目のボーリングを行い、高温良質の温泉が豊富に湧き出るようになったとのこと。2016(平成28)年には、本館をリニューアルして宿泊棟を一新。「さらに居心地が良くなった」と評判です。

源泉の湧出量は毎分200リットル、温度は62.5℃とかなり高温

【源泉の湧出量は毎分200リットル、温度は62.5℃とかなり高温】

 「今は循環式で24時間入れる便利な温泉もあるけれど、かけ流しの源泉を皆様にお届けしたいので、開業の頃から毎晩お湯の入替えを続けています」と関谷さん。「ここでは、素朴で田舎らしいひとときを楽しんでもらえたらうれしいです」。
 佐藤さんは「大自然の中に全身浸っているような心地よさを感じられる温泉が一番の自慢。たまには日常を忘れて、疲れを癒しにいらしてください」と話してくれました。

森の静寂と四季を彩る庭園でリフレッシュ

本館の周りを軽く散策するだけでも自然にふれあえる

【本館の周りを軽く散策するだけでも自然にふれあえる】

 貝の沢のキーワードは、温泉と自然。敷地内には、なんと東京ドーム約8個分(40町歩)の規模の森が広がっているそうです。本館の周りには庭園が造られており、鮮やかな紅葉が見事でした。春は山桜、初夏は1200本のツツジ、夏は竹林と緑の木々、秋はモミジやカエデ、そして冬は、綿ぼうしのようにしんと積もった雪景色…。一年を通じて、季節の移ろいを楽しむことができます。

安全を配慮して、室内から景色を楽しめるようにレイアウト

【安全を配慮して、室内から景色を楽しめるようにレイアウト】

 しかし近年、秋田県では山間部のみならず市街地にもクマの出没が相次ぎ、全国でも大きな話題となっています。貝の沢温泉でもお客様やスタッフの安全を第一に考え、今は森の奥には案内せず、本館まわりの散策や館内での庭園鑑賞をおすすめしています。この地域に限らず、出歩く際はくれぐれもご注意を。

“フォレスト湯治”で心と身体に癒しを

2016年に新設した旅館の客室イメージ。湯治の滞在も人気

【2016年に新設した旅館の客室イメージ。湯治の滞在も人気】

 貝の沢の泉質と環境の良さを肌で実感するなら、やはり宿泊がおすすめです。新設された和室の宿泊棟は、隅々まで手入れされていて、とにかく静か。宿泊者専用の温泉もあり、22時までゆっくり入浴できます。

  • 宿泊者専用の内風呂

    【宿泊者専用の内風呂】

  • 家庭料理プランの一例

    【家庭料理プランの一例】

 「せきや」から仕入れた新鮮な旬の食材で提供するお食事は、会席料理(※2名以上より)と家庭料理プランの2種類から選べます。一人旅でも肩ひじを張らずに味わえる家庭料理の手作りごはんは、うれしい計らいですね。Wi-Fiも完備されているので、温泉に入りながら仕事に集中するのも良し、たまにはスマホを開かずに、森の空気を胸いっぱいに吸って、お部屋でごろごろ寝そべるのもまた良し。ぐっすり眠って早朝の一番風呂に入ると、心も体も軽くなっているのに気がつくはずです。
 秋田市まで来る時は、少し郊外まで足をのばして、都会にはない「素朴な贅沢」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

タヌキ

貝の沢温泉 モデルタイムテーブル

女性の一人旅や2~3泊でのんびり滞在するお客様も多いという貝の沢温泉。お料理は3日続けてメニューが変わります。角館や男鹿などにも1時間前後で行けるので、温泉を拠点にしながら日中のドライブや観光を楽しむのもおすすめ!

●DAY1
14:30 レンタカーで秋田市内を出発
15:00 貝の沢温泉にチェックイン
15:30 ♨大浴場と露天風呂
17:00 夕食
20:00 ♨宿泊者専用内風呂

●DAY2
 6:00 ♨大浴場で朝風呂
 8:00 朝食
 9:00 本館まわりの庭園を散策
10:00 チェックアウト/秋田市内や秋田県内の観光へ

利用案内とアクセス

貝の沢温泉
秋田県秋田市太平山谷字長坂66-96
TEL/ 018-838-3838
日帰り入浴/9:00~19:00(最終受付18:30)
休館日/毎月第2火曜日・水曜日

施設の詳細や宿泊予約は公式ホームページをチェック!
https://kainosawa-akita.com/

アクセス
・秋田駅より車で約30分
・秋田中央ICより太平方面へ車で約15分
・秋田市内からの宿泊者専用無料送迎バス
行き/14:30 通町せきや出発/14:40 秋田駅西口出発
帰り/翌10:00 貝の沢温泉出発(秋田駅西口→せきや)

秋田県内の観光情報はこちらから

秋田県公式観光サイト「アキタファン」
https://akita-fun.jp/

秋田市郊外の温泉宿泊施設

秋田市内で自然と温泉をのんびり満喫できる、郊外の宿泊施設をご案内します。
中心市街地とはまた違う、秋田市の新たな魅力を見つけてください。

・あきた温泉さとみ
https://www.satomi-e.com/

・あきた温泉プラザ
https://www.akitaonsen.co.jp/

・秋田健康増進交流センター ユフォーレ
https://www.yufore.jp/