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[AKITA DEEP DIVE]まだ知らない秋田、掘り下げる旅

2025年12月23日



秋田市で発酵食文化にふれあう旅

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秋田の食文化を知る上で欠かせないキーワードは、やはり発酵食。厳しい冬を乗り越えた先人たちの知恵と北国の豊かな自然環境が育んできた発酵食文化が、さまざまなおいしさで地域の暮らしに息づいています。
「AKITA DEEP DIVE」では、「発酵」をテーマに秋田市をガイドします。記事の後半にはイベントのお知らせもあるので、最後まで読んでくださいね。

「美酒王国」秋田に、酒造り本番の冬が到来!

日本酒イメージ

 米と米麹、水を主な原料とする日本酒は、米を発酵させて造る醸造酒です。全国屈指の米どころであり、気候風土、良質な水、そして伝統を受け継ぐ蔵人の技など、酒造りの条件に恵まれている秋田県は「美酒王国」とも呼ばれています。
現在、秋田県内にある日本酒の蔵元は33蔵。秋田市には「高清水」の秋田酒類製造、「No.6」の新政酒造、「ゆきの美人」の秋田醸造、「秋田晴」の秋田酒造、そして「銀鱗」の那波商店の5蔵があります。
冬の訪れとともに、秋田でも酒造りが始まりました。最盛期は12月から2月頃まで。フレッシュな「しぼりたて」の生酒を味わえる、うれしい季節です。

秋田の地酒「高清水」の酒蔵見学へ

「高清水」で親しまれる秋田酒類製造株式会社

【「高清水」で親しまれる秋田酒類製造株式会社】

 11月下旬、秋田市川元の秋田酒類製造株式会社の本社蔵へ酒蔵見学にお邪魔しました。「高清水」の酒銘でおなじみの蔵元です。「酒質第一」を掲げる同社の創業は1944(昭和19)年、12蔵の酒造家が手を取り合い、ひとつの会社を立ち上げたのが始まりです。このうち最古の蔵の創業は1656(明暦2)年まで遡る歴史があるそうです。川元という地名のとおり、ここは奥羽山系の3つの川が出合う場所。敷地内の井戸から汲み出す清らかな地下水が仕込み水となります。
 高清水には3つの蔵があります。本社蔵には6階建ての「千秋蔵」と手造り蔵の「仙人蔵」を、秋田市御所野には最新技術と伝統が融合する「御所野蔵」を構えています。

事前予約で酒蔵見学ができる「酒造道場 仙人蔵」

【事前予約で酒蔵見学ができる「酒造道場 仙人蔵」】

 高清水では、本社蔵の敷地内にある「酒造道場 仙人蔵」を見学できます。同社営業企画部主任の小倉優子さんが案内してくれました。1953(昭和28)年に建てられた蔵を、2005(平成17)年に酒造りの伝統や精神を次世代に伝える場として復活させたといいます。梁や柱など昔の面影はそのままに、リノベーションを経て新しい魂が吹き込まれました。

  • 蔵の一階
  • 2階から見える仕込み室

 仙人蔵で醸す吟醸系のお酒はすべてが手造りです。タンクは、通常の容量の約10分の1。手間ひまをかけて「お酒のお世話をしやすい」サイズなのだそう。2階の窓からは、タイミングが合えば仕込み作業を見学できます。見学コースには、昔使われていた酒造道具などを展示する資料室もあります。高清水のルーツである12蔵の貴重な資料が数多く揃っていて、秋田の酒造りの歴史を紐解くことができます。

酒蔵を案内してくれた秋田酒類製造㈱の小倉優子さん

【酒蔵を案内してくれた秋田酒類製造㈱の小倉優子さん】

  • 資料室
  • 展示コーナー

当たり前のことを真面目に。“スタンダード”な酒造り

 高清水の酒造りは、山内杜氏の伝統を守り、低温長期発酵させる「秋田流寒造り」と呼ばれます。本社蔵には五代目杜氏の菊地格さん、御所野蔵には「現代の名工」に選ばれた初代杜氏の加藤均さん、二人の杜氏が在籍します。二人は互いに切磋琢磨しながら競い合い、高清水の味と技の向上に努めているそうです。本社蔵を統括する菊地杜氏にお話を伺いました。

高清水 本社蔵(千秋蔵/仙人蔵)五代目杜氏・菊地格さん

【高清水 本社蔵(千秋蔵/仙人蔵)五代目杜氏・菊地格さん】

――高清水の味わいの特徴は?

菊地杜氏:高清水は秋田の地酒。とても秋田らしい味わいです。お米は純米大吟醸用を除くとすべて県産米ですし、水はこの場所から湧き出る軟水の地下水を使っています。秋田の米と水でお酒を仕込むと、非常にふくらみのあるやさしい味に仕上がるんです。

――高清水の酒造りのこだわりとは?

菊地杜氏:スタンダードな酒造りです。妥協や省略は一切せず、当たり前のことを当たり前にやるという真面目な酒造りを心がけています。中でも特にこだわっているのは酵母です。初代杜氏の鶴田百治は前職の新政酒造さんで「きょうかい6号酵母」*の育成に尽力しました。当社では、鶴田杜氏を招いた1944年の創業時から絶やすことなく6号酵母を使い続けています。

インタビュー中の菊地さん

――杜氏として最も気を遣うのはどんな場面?

菊地杜氏:酒造りは寝食を共にする蔵人たちとチームを組んで行うので、やはり人づきあいですね。仕込みの期間が始まり、今は19人の蔵人と集団生活をしています。一緒に朝から働き、食事と晩酌をして、寮に戻る。文字どおりに「同じ釜の飯を食う」仲間たちです。彼らを上手くまとめられるよう、常に気を配っています。チームの体制が乱れてしまうといいお酒は造れませんから。「和醸良酒」の気持ちを大切にしています。

――菊地杜氏が考える日本酒の良さとは?

菊地杜氏:私自身はアテがないとお酒が進まないので、食中酒が一番だと思っています。料理の味をぐっと引き立てるのが日本酒の大切な役目でもあります。「日本の伝統的酒造り」と「和食」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。日本でも、海外でも食事と一緒に日本酒を楽しむ習慣が広がればうれしいですね。

「蔵人をまとめるのは大変!」なんて言葉も出ていたけれど、「菊地杜氏は朗らかで優しい性格なので、実は蔵人や社員たちにとっても慕われているんですよ」と高清水の皆さんがこっそり教えてくれました。

*きょうかい6号酵母…1930年に秋田市の新政酒造で採取された、現存最古の協会酵母。

美肌で潤う秋田の日本酒コスメ

高清水の直営ショップ「倉//蔵」。お買い物のみの利用もOK

【高清水の直営ショップ「倉//蔵」。お買い物のみの利用もOK】

 酒蔵見学を終えたあとは、本社蔵に併設する直営ショップの「倉//蔵(くらくら)」でお買い物を。店内には、ここだけでしか手に入らない限定酒や甘酒も含め、高清水のラインナップがずらりと揃っています。季節限定酒など、4種のお酒を無料で楽しめる試飲コーナーやオリジナルグッズなどの販売もしています。

  • お酒の無料試飲コーナー

    【お酒の無料試飲コーナー】

  • 高清水のお酒が勢ぞろい!

    【高清水のお酒が勢ぞろい!】

お店の奥に、ちょっと気になるコーナーを見つけました。化粧水に乳液、クレンジングやフェイスパックなど化粧品が並んでいます。
 そう。高清水では、自社の日本酒を配合したスキンケアシリーズ「高清水化粧品」も展開しているんです。発酵食は近年、美容と健康に効果をもたらす食品としても大きな注目を集めていますよね。麹をたっぷり使う純米酒には、美肌成分のアミノ酸が豊富に含まれているのだそう。酒粕と地下水、さらに秋田県産のジュンサイやキイチゴなど植物由来の保湿成分が配合され、肌をきめ細やかに整えてくれます。コストパフォーマンスが良く、たっぷり使って潤えるのも魅力。自分用にはもちろんのこと、お酒を飲まない方へのお土産にも喜ばれそうです。

「高清水化粧品」スキンケアシリーズ。オンラインショップもあり

【「高清水化粧品」スキンケアシリーズ。オンラインショップもあり】

 高清水の酒蔵見学は、土日祝日定休の要予約制(無料)です。2月下旬には、毎年恒例の酒蔵開放が行われる予定。詳しい情報は、高清水のオフィシャルサイトをチェックしてください。

秋田酒類製造株式会社
秋田市川元むつみ町4-12
TEL:018-864-7331
直営ショップ営業時間:10時~16時(土日祝休)

https://www.takashimizu.co.jp/

お酒といっしょに、奥深い発酵食の魅力を新発見

2016年開業の人気店、秋田市南通の「とっくりの木」

【2016年開業の人気店、秋田市南通の「とっくりの木」】

 夜は、センスのいい飲食店が集まる南通亀の町の一角にある「とっくりの木」へ。「カラダよろこぶ料理とお酒」をコンセプトに、秋田の発酵食をさまざまなアレンジで提供する創作料理のお店です。同じ発酵食である日本酒とお料理の相性は言わずもがな。秋田の地酒と全国の旨いお酒を常時30種ほど用意しています。

  • 「とっくりの木」店主の沓澤和之さん

    「とっくりの木」店主の沓澤和之さん

  • 日本酒ラインナップが豊富

    【日本酒ラインナップが豊富】

 店主の沓澤和之さんは、発酵食文化が盛んな秋田県南地域・横手市の出身です。「雪深い地域に生まれ育ったので、保存食でもある麹や味噌などを使った料理には子どもの頃から慣れ親しんできました」と話します。同店では、湯沢市の味噌・醤油醸造元「石孫本店」や横手市の「羽場こうじ店」など、主に県南地域の発酵食品を使っているそうです。

「とりあえず!」でオーダーしたい「おまかせ五品盛り」

【「とりあえず!」でオーダーしたい「おまかせ五品盛り」】

 はじめの一皿として、ぜひともおすすめしたいのは、「おまかせ五品盛り」。「鯛の刺身塩麹和え」や「豆腐の味噌漬け」など、お酒がすすむ肴をちょっとずついただけます。ほかにも、お店で一番人気の「海老黒味噌クリーム炒め」や今が旬の「再仕込み醤油を使ったセリ鍋」など、滋味あふれるメニューがいっぱいです。

  • 「海老黒味噌クリーム炒め」

    「海老黒味噌クリーム炒め」

  • 「再仕込み醤油を使ったセリ鍋」

    「再仕込み醤油を使ったセリ鍋」

 「身体にいい発酵食の魅力をここで楽しんでもらえたら」と沓澤さん。秋田の定番郷土料理とはまた違うスタイルで秋田らしさを味わえるお店として、出張の方や旅行者にも人気です。
 「とっくりの木」という名のように、2階、3階へと伸びるツリーハウスをイメージした空間も遊び心にあふれてワクワクします。席数が限られているので予約が安心。「発酵食ってこんな食べ方もできるんだ!」という新しい驚きを見つけてみてくださいね。

  • 2階と3階
  • 外観遠景

とっくりの木
秋田市南通亀の町1-8
TEL:018-893-6276
営業時間:17時~23時(日曜祝日定休)

https://www.instagram.com/tokkurinoki/

2026年1月24日・25日は「SAKEと発酵市 in 秋田市」へ!

SAKEと発酵市 in 秋田市」特設サイトメイン画像

 冬の秋田県には、「寒い」と躊躇するのがもったいないほど旅の楽しさが詰まっています。スノーアクティビティに雪景色を眺めながらの温泉、あったかい鍋料理、ナマハゲやかまくらなどの冬祭り……そして秋田市では、お酒と発酵が主役の大きなイベントが開催されます!

 2026年1月24日(土)、25日(日)の2日間は、秋田市にぎわい交流館AUで「SAKEと発酵市in秋田市」が開かれます。秋田県内約30蔵の「地酒飲み比べ体験」(※有料デジタルチケットでの事前予約制)が楽しめる、日本酒ファンにとってはたまらない企画です。旅の人も、地元の人も、みんなで仲良くカンパイしましょう!

 「地酒飲み比べ体験」のデジタルチケットは、ただいま好評販売中!枚数限定の割引クーポンも使えるので、ご購入と旅の準備はぜひお早めに。

「SAKEと発酵市 in 秋田市」 チケット販売中!
開催日時:2026年1月24日(土)、25日(日) 
1部/12時~14時 2部/15時~17時(両日)
※入場は有料で原則事前予約制
会場:秋田市にぎわい交流館AU 2階 特設会場(展示ホール)
主催:秋田市
お問合せ:秋田市 観光文化スポーツ部 観光振興課(018-888-5602)

◎「SAKEと発酵市 in 秋田市」のイベント詳細やチケット購入情報は特設サイトから!

https://www.akita-yulala.jp/saketohakkouichi

昨年度開催した「SAKEと発酵市in秋田市」のようす

【昨年度開催した「SAKEと発酵市in秋田市」のようす】

秋田市の街なかで、冬を楽しみつくす2日間!

  • ※写真はイメージです
  • ※写真はイメージです
  • ※写真はイメージです

※写真はイメージです

「SAKEと発酵市 in 秋田市」のイベント当日、街はとってもにぎやか。会場周辺では発酵食や地ビールを販売するエリアのほか、同時開催&連携イベントが盛りだくさんに開かれます。
おいしくてあったかい「秋田かやき」の大鍋ふるまい(限定500食)や、東北三大祭り「秋田竿燈まつり」の特別公演、伝統芸能「秋田万歳」の鑑賞会に、秋田で活躍するガラス作家たちの酒器販売……特別な旅の思い出をつくるのにもってこいの2日間です。夜になると、JR秋田駅前からメイン会場のなかいちまでは、幻想的なイルミネーションで美しく彩られます。ぜひ街を散策しながら、心あたたまるひとときを楽しんでくださいね。

「SAKEと発酵市 in 秋田市」同時開催&連携イベント
・地ビールと発酵食の販売
・「秋田かやき」の大鍋ふるまい
・秋田竿燈まつり 公演
・-春を言祝ぐ祝福芸-秋田万歳鑑賞会
・新屋ガラス工房の酒器等出張販売
・秋田犬との雪上お散歩体験
・なかいちウィンターパーク
・あきたなつかしれとろ博覧会 etc.

※各イベントの詳細は、「SAKEと発酵市 in 秋田市」特設サイトをご覧ください。

https://www.akita-yulala.jp/saketohakkouichi

※写真はイメージです

※写真はイメージです

秋田県内の観光情報はこちらから

秋田県公式観光サイト「アキタファン」
https://akita-fun.jp/

秋田市の宿泊案内(JR秋田駅周辺・中通・南通エリア)

「SAKEと発酵市in秋田市」が開催される秋田市中心市街地のホテルをご案内します。

・東横イン 秋田駅東口
https://www.toyoko-inn.com/search/detail/00087/

・ホテルメトロポリタン秋田
https://akita.metropolitan.jp/

・ダイワロイネットホテル秋田駅前
https://www.daiwaroynet.jp/akita-ekimae/

・ホテルアルファ―ワン秋田
https://www.alpha-1.co.jp/akita/

・コンフォートホテル秋田
https://www.choice-hotels.jp/hotel/akita/

・ANAクラウンプラザホテル秋田
https://www.anacpakita.jp/

・リッチモンドホテル秋田駅前
https://richmondhotel.jp/akita/

・ドーミーイン秋田
https://dormy-hotels.com/dormyinn/hotels/akita/

・秋田キャッスルホテル
https://www.castle-hotel.jp/

・ルートイングランディア 秋田・華の湯
https://www.hotel-grantia.co.jp/akita/

・いやし処ほてる寛楽 秋田川反
https://shsg.jp/kanraku/akita/

・ホテルなにわ
http://www.hotel-naniwa.jp/

・えびすや旅館
https://www.akita-yulala.jp/accommodation/67