厳選特集

郷土に愛される土崎港曳山まつり


地域の伝統とともに歩む土崎港曳山まつり


威勢のいい曳子と
迫力あふれる曳山

 土崎神明社祭の曳山行事は、「土崎港曳山まつり」の愛称で親しまれ、毎年7月20日、21日の両日に開催されています。
その歴史を辿ると、宝永元年(1704年)に土崎の港に来る船乗りの人たちから神輿が寄進されたのをきっかけに、宝永2年(1705年)には神輿渡御が行われ、これが港祭りに発展したといわれ、今では300年以上の歴史を持つ秋田県を代表するまつりとなりました。
平成9年(1997年)12月には、多彩な儀礼や時節を反映した見返しの趣向による風流の要素を色濃く残した地域を代表するお祭りという点が評価され、国の重要無形民俗文化財に指定されたほか、2016年12月1日に「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産へも登録されました。

勇壮で迫力あふれる曳山


鮮やかな色合いと
勇壮な迫力を誇る武者人形

 土崎港曳山まつりの曳山は、「ヤマ」や「ダシ」とよばれ、参加町内ごとに毎年新しく作られます。
土崎の曳山の飾りつけは特徴的で、前側には武者人形を乗せ、戦国時代などの歴史上の有名な場面を再現しています。鎧や陣羽織等の衣装を着た人形(衣装人形)と上半身の肌がむきだしの人形(裸人形)が立ち並び、その勇壮で生々しい様が圧倒的な存在感を放っています。また、後側には、川柳風に時代の風刺を込めたユーモラスな一句とともに人形が飾られ、“見返し”とよばれ観客の人気を集めております。この重厚感あふれる曳山は、お揃いの浴衣を身にまとった曳き子たちの威勢のいい「ジョヤサ」の掛け声とともに動き出し、その迫力が観る人を圧倒します。
この曳山は、まつり期間中に神様の御分霊を乗せた神輿とともに、町内を端から端まで練り歩きます。その間、にぎやかに囃子たてることにより、町の中に漂っていた災いをもたらす怨霊や悪霊を曳山に誘い込んで封じ込め、まつりが終わるとすぐに曳山を解体することにより怨霊や悪霊を町から追い払う意味をもつといわれております。

曳山の運行とみどころ



大人から子供まで
一緒になって魅せる踊り

まつり中は
大勢の人で町がにぎわう

 7月20日の朝に各町内を出発した曳山は、土崎神明社に参拝をした後に、それぞれの町内を目指して運行され、夕方頃に町内の会所に到着します。翌日の7月21日は、御旅所のある穀保町へ行き、神輿渡御の出迎えと見送りをしてから、相染町を目指します。この時の曳山運行が“御幸(みゆき)曳山”とよばれます。相染町で休息後、まつりのハイライトである“戻り曳山”が出発して、各町内を目指します。各町内への到着は、大体夜中の0時から2時頃になります。
土崎港曳山まつりでは、港ばやしとよばれるお囃子が演奏され、「寄せ太鼓」「湊ばやし」「あいや節」等が、まつりの一連の流れの中のそれぞれの場面で披露されます。寄せては返す波の如き軽快な曲調の音色が、土崎の港っこの心意気を高めて、町を興奮で包み込んでいきます。
まつりの大きな見所の1つとして、運行の途中で曳山を止めて披露される踊りがあります。御幸曳山の途中、ホテル大和の前の通りでは、各町内の曳山の「輪踊り」が次々と披露され、沿道の露店の活気にも押されて、大いに盛り上がります。各町内の「秋田音頭」の踊りの競演を楽しむことができます。また、「戻り曳山」の運行時にも、哀愁あふれる「あいや節」のお囃子とともに、おまつり最高潮の中で踊りを見ることができます。

まつりの風情と継承される伝統


世代を超えて引き継がれる
まつりの伝統

土崎神明社例祭の曳山行事は、通称「カスベ祭り」とも呼ばれ、ガンギエイ科の魚であるカスベを使った「カスベの煮付け」が、まつりのもてなし用の料理、酒の肴としてふるまわれます。カスベの味、それは土崎の祖母から伝わる母の味であり、まつりの風情を醸し出す味として、土崎には欠かせないものです。
土崎地区では、この曳山まつりに関する多くの年間行事や風流が残っており、小・中学校でも地域の伝統芸能として語り継がれています。まつりに参加する子供たちもふるさとに誇りをもち、この行事を毎年楽しみにしています。
郷土に愛される土崎の港曳山まつり。ぜひ皆様もご覧になってください。
土崎港曳山まつり実行委員会のホームページはこちらからどうぞ