厳選特集

夏を乗りきるスタミナ源 岩ガキとカスベ


豊かな自然の伏流水に育まれた海のミルク「岩ガキ」


市場に並べられた
大ぶりな岩ガキ

豊富なミネラルを含む
新鮮な岩ガキ

 秋田の夏を代表する美味な食材の一つが天然岩ガキです。初夏から秋にかけて男鹿市やにかほ市で収穫されます。
男鹿市では、5月中旬ころから天然岩ガキ漁の漁期が始まります。漁師たちが「J」型のバールを持って、水深4~8メートルあたりの岩場を素潜りし、海面と海中を何度も行き来しながら、大ぶりな岩ガキを収穫します。6月上旬には最盛期を迎え、岩ガキの入荷を待ちわびたファンの口に届けるため市場に出回ります。
また、にかほ市の岩ガキ漁は、毎年7月上旬頃に解禁されます。甘さが特徴の象潟の岩ガキは、霊峰鳥海山の伏流水に育てられます。ミネラルたっぷりの栄養素を含んだ鳥海山の伏流水が海岸や海底に湧き出して、良質なプランクトンを育てることで、岩ガキをはじめとする多くの海の幸が成長するのです。海水が暖かいとカキの中身よりも殻がどんどん大きくなりますが、年間を通して10℃前後と冷たい伏流水により、象潟の岩ガキは中身の詰まった立派なものに育つため、他の岩ガキ産地とは一味違った美味となるのです。
肝機能を助けるグリコーゲンと遊離アミノ酸、そして多くのミネラルを含んだ天然岩ガキはその味覚や食感から、「海のミルク」とよばれ、焼いて良し、揚げても良し、生でなお美味い、どのように調理をしてもバツグンの味です。
夏の暑い盛りにノドを通るカキは、季節の旬を味わう喜びを感じさせてくれます。

夏に欠かせないカスベ


肉厚な干物になったカスベ

味のしみこんだ
カスベの煮付け

 「カスベ」とはガンギエイ科のエイのヒレです。秋田に入ってくるカスベは、北海道北部の沿岸で獲れたカスベを10月末~12月と2月~5月の年2回、冷たい風で乾燥させたものです。
北海道では生のカスベを唐揚げなどにして食べますが、秋田や山形で食べられるのは、加工されたカスベの干物です。冷蔵庫がなかった時代、新鮮な生魚を手に入れ保存するのは非常に難しく、夏場に食べられる魚の代表と言えばカスベでした。
しょう油と砂糖で濃い味付けをしてじっくりと煮こんだ「カスベの煮付け」は、肉厚な身と柔らかい軟骨を一緒に食べられるため、コリコリとした食感で昔ながらの味わいを楽しむことができます。
毎年7月20日・21日に行われる秋田市土崎地区の港まつりは、別名「カスベ祭り」と言われています。土崎地区の各家庭では、代々受け継がれてきた調理法で10軒あれば10通りの調理法があり、お祭り当日は必ずと言っていいほどカスベが振る舞われます。
土崎地区も含めて、秋田市内で常時カスベを食べられるお店は少なくなりつつありますが、美肌効果のあるコラーゲンを含んでいることから、女性客が好んで注文するようになりました。 カスベを食べてさらに美人になりましょう。